シーリングスタンプ/封蠟

学生時分にイギリスにホームステイした際に、封蠟(シーリングスタンプ)なるものを
初めて目にし、その魅力にとりつかれました。
封蠟とは、昔、ヨーロッパにおいて重要な手紙や書類、あるいはワインなどの酒を、
封をするためのワックス(ロウ)です。
とくに高級品の酒類で封をされる場合には、未開封であることを示すシンボルにもなっており、
高級感を際立たせるアイテムになっています。

学生時代は日本ではほぼ入手不可能であり、社会人になってからも
随分長い間、探しておりました。
そうこうするうちに、イギリスのホストファミリーと疎遠になり、海外にグリーティング・
カードを出す機会も滅多になくなりました。
が、その後、実家近くで親父が地元で、日本に留学中の海外学生や社会人と交流する
機会があり、その時に私も一緒に食事などをしたことから、そういう方々と文通を
始めることになりました。

通販で初めてこの手のものが入手できるようになったのは、ほんとうにごく最近になってからで
2000年台後半だったと記憶しています。
その頃は Amazon ですら入手不可能で、わずかに楽天の一部の店舗、および丸善などの
ネット通販の片隅に出ている程度でした。

ところが、実際にこれを入手してもどうやってワックスをこさえたらいいのかが分からない。
見よう見まねでやってみるが、ススがついたりして、きれいな形にまとまらない。
試行錯誤の末、この2、3年でようやく安定して作れるようになったのですが、
この頃になると、世の中、似たようなことを考える人がいるもので、
100円ショップなどのアンティーク・コーナーにも、手軽にできるキットが
出回るようになりました。まさか自分がアンティーク・コーナーを回るなどとは
思っていなかったのですが、実際これを使えば、いとも簡単にできてしまいます。
しかしながら、やはり金額相応というか、本来のワックスのツヤが出ない。

ということで。ここでは本家シーリングワックスを使った簡単な流れを書きます。

【準備するもの】
1) シーリングワックス
2) ティンキャンドル(100円ショップで売っているものでOK)
3) ライター(100円ショップで売っているものでOK)
4) ティースプーン(小さい方がよい)
5) トレイ(100円ショップなどで売っている金属製の小さいトレイ)
6) 小さい保冷剤


全体の流れ
1) トレイを保冷剤にのせ、冷やす。
2)シーリングワックスを 1cm ほどカッターナイフで切り取り、これをティースプーンに
 のせる。
3) ティンキャンドルに火をつけ、スプーンをあぶる。
  ワックスは溶け出したら、あまり火をかけないように注意する。
  (高温になりすぎると、ススがつくので注意)
4)  丸い形になるよう、トレイにのせる。
5) 素早くシーリングスタンプを押しつける。
  そのまま、10分~15分待つ。 
 トレイが薄いと保冷剤の影響ですぐに固まりはじめるので、
 ワックスをトレイに空けたら極力間を開けずに、スタンプを押すこと。
6) 時間がきたら、トレイからワックスを外す。


・シーリングワックス・キット
  シーリングワックスでちょっと決め手になるのが、スプーンの大きさ。
あまり大きすぎると、ワックスの温度の調整に手間取るし、小さすぎると
 すぐにススがつく。
 簡単な方法はセットで入っているスプーンを使うのが一番やりやすい。


よく見ると「ハリー・ポッター」仕様?になっている。





慣れると、いろんな色のワックスを試してみると面白い。
ワックスこそが、シーリングワックスの肝と言えるでしょう。
いくつかの色を合わせてみるのも面白いです。
本当に楽しいのは通販で買うのではなく、ちゃんとした文具屋で
自分で手に取って、自分の目で色を確かめ、
好きなものを選んで買うことです。

ネットでは芯つきのワックスが大半なのですが
個人的にこれはあまり好きではないので、ワックスは直接店に買いにいきます。








・スタンプ
基本的に自分の好きなデザインを選びますが、
ワックスの上に押しつけるので、多少重みがあった方が良いと思います。




関西で、シーリングスタンプが購入できるところ
NAGASAWA神戸煉瓦倉庫店
シーリングワックスだけでなく、ガラスペンやカリグラフィーペン、
その他 万年筆など、レトロでおしゃれな品がとっても多い、
おすすめの店舗。
NAGASAWAは本店も、こうした文具を置いていますが、神戸煉瓦倉庫店の方が
品揃えが充実している。詳しい店員さんもいらっしゃるので、相談に乗ってもらえます。



その他
ジョヴァンニ
シーリングワックスの品揃えは随一。
東京でなかったら直接店に行きたいぐらいなのですが、そういうわけにも
いかないのでネット情報で我慢。
新着情報の案内も、会員メールやFacebookに載っているので、けっこう重宝。




邪道?とは思いますが、予算に制約が多い人のために、
もっと簡単に作れるアイテムを利用する場合をご参考に載せておきます。
そろえるもの
1) グルーガン





2)グルーガン用ワックス
100円ショップでも売っていますが、あまり評判はよくないようで、
すぐに垂れてしまったりするようです。
エルバン製のものを選んでおけば心配ないかと思われます。



3) トレイ(100円ショップのもので十分)

簡単ですが、これくらいで簡単にできてしまいます。

で。ホンモノとこちら、できあがりで何が違うかというと
ホンモノはかなり固めで、光沢が出ます。
後者は、作り上げは非常に簡単なのですが、やや柔らかく、
おまけに気温が高いと封切りに難があり、曲がったりするようです。
(日本人ではありませんが、東南アジアの方で受け取った人から聞きました)
勝手な想像ですが、後者は接着質が含まれているので、それが
見た目や触った感じの違いに出てくるのではと思われます。
いずれにしても、見た目で一目瞭然です。

実際に開封する際は、前者は完全に割れてしまうので、これが
(封をきった)目印になるのではなかろうかと思います。

どちらを選ぶかは、予算や自己満足度?に応じてください。